平成25年4月1日に高齢者雇用安定法の施行(一部改正)以降、定年退職後、希望者には最長65歳までの雇用機会の確保が義務付けられていますが、令和元年5月15日、政府による「未来投資会議」において、定年退職後の高齢者の70歳までの就業機会の確保に向けた法改正を目指した議論が執り行われました。

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未来投資会議では、「『人生100年』時代を迎えている昨今、それと同時に少子高齢化社会が進む中、働く意欲のある高齢者が培った経験を社会で発揮できるよう、働き方の選択肢を広げる必要があり、それに向けた社会の実現を目指す。」と話し合われ、法改正への議論がされました。

議論では、定年退職後の継続雇用に限らず、他企業への再就職や個人での起業・活動への支援も進めていく制度を提案しています。

具体的には以下の7つが挙げられています。

  1. 定年の廃止
  2. 70歳までの定年延長
  3. 継続雇用制度の導入
  4. 他企業への再就職の支援
  5. 個人とのフリーランス契約への資金提供
  6. 個人の起業支援
  7. 個人の社会貢献活動参加への資金提供

人材・労働力が不足している中、経験豊富な高齢者の力は、今後の日本の成長において大きな力となるでしょう。ひとえに定年後の再雇用といっても、家庭の事情や自身の健康状態など、高齢者が置かれている環境は様々です。パートタイマーや短時間勤務など、多様化しているニーズにいかに対応できるかを考えていく必要があり、そのためには現行制度の見直しが重要視されています。

未来投資会議でも触れていたように、単なる「70歳まで働くことができる」ことにとどまらず、「多様な働き方の中から選び、70歳まで働くことができる社会」の実現を期待したいものです。

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SATO社会保険労務士法人

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。