iPhoneやAndroidの誕生に大きな影響を与えたNTTドコモのiモード携帯電話。モバイル決済を世界ではじめて実現したおサイフケータイや、コンテンツ産業の創生など、世界に先駆けてポストPC時代を築いたiモード。
その立役者であり、スティーブ・ジョブズのiPhone開発やGoogleのスマートフォン事業にも大きな影響を与えた日本のイノベーターが、慶應大学の特別招聘教授の夏野剛氏。
その夏野氏が、CREO USERS FORUM 2018の基調講演に登壇します。「激変するデジタル社会と日本企業の未来」を夏野氏は、どのように捉えているのでしょうか。
その核心に迫るために、変革の時代を紐解く4つの「なぜ」を夏野氏に語ってもらいました。


「なぜ、日本ではUberが使えないのか」(10/11 配信予定)
「なぜ、日本のFree WiFiはパスワードがいるのか」(10/15 配信予定)
「なぜ、日本には孫さんしかいないのか」 (10/18 配信予定)
「なぜ、日本の生産性はあがらないのか」(10/22 配信予定)

この4つの「なぜ」の連載にあたり、まずは現在の日本を取り巻くテクノロジーの進化が、ライフスタイルとビジネスにどのような影響を及ぼしているのか、簡単に整理しておきましょう。


デジタルを中心としたライフスタイルの変化が多くの産業に変革を促す

私たちの生活は、テクノロジーの進化によって大きく変わり始めています。
例えば、米国ではNetflix (ネットフリックス) のようなビデオオンデマンドが普及したことで、テープやディスクを扱っていたレンタルビデオ店の多くが閉店しました。また、AmazonのようなEC(電子商取引)サイトの利用者が増え、実店舗での物販にも変化が起きています。
こうしたデジタル化の波は、一過性のものではなく、スマートフォンとクラウドの普及に比例して、その勢いはさらに加速していきます。


テクノロジーの進化がもたらすライフスタイルの変化は、個人の生活の利便性に関わるだけではなく、一般消費財を中心にビジネスを推進している企業にも、大きな変革をもたらします。
テレビや新聞などのマスメディアが、最新のファッションやブームを伝えていた過去から、人気ブロガーやユーチューバーが新しいムーブメントを巻き起こしはじめているように、産業界でもデジタルデータの波を捉えて成功するスタートアップ系企業や新規事業が増えています。例えば、インスタ映えを狙った商品やロケーションや店舗が急速に売上を伸ばすように、変化の波はあらゆる業種や業態に及んでいます


デジタルを中心としたライフスタイルの変化が、多くの産業を革新している今、デジタルトランスフォーメーションが求められているのです。
しかし、一方で生産性が上がらず改革を進められない日本企業の課題もあります。
その問題について、夏野氏の4つの「なぜ」から答えを探っていきます。