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1.はじめに

新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、雇用調整助成金を活用するための特例措置が2020年9月30日まで実施されています。 特例措置の詳細はこちらをご確認ください。

本稿執筆時点で公表されている8月21日時点の支給決定額は9,941億円となっており、実際に支給を受けた会社も多いのではないでしょうか。
日本では会社の費用を助成するような補助金についての会計基準が明文化されていないため、その実態に応じて会計処理を検討する必要があります。本稿では、開示例をもとに支給を受けた上場会社がどのように会計処理を行ったかまとめてみたいと思います。

2.雇用調整補助金に関する有価証券報告書の開示例

決算日が2019年12月31日から2020年6月30日の間にある会社を対象として、有価証券報告書内に「雇用調整助成金」と記載している事例を検索したところ、26社が抽出されました。また、「緊急雇用安定助成金」も同様に検索したところ、㈱梅の花1社のみ抽出され、雇用調整助成金の検索結果と重複するため、以下の表は雇用調整助成金のみに絞ったものとしています。

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雇用調整助成金の記載があった会社のうち、銀行業2社は手続面の支援をする旨の記載でした。
それ以外の会社は制度を活用しており、主に営業外収益として計上されています。なお、このような助成金収入は費用と相殺することなく、それぞれ総額で計上するものと考えられます。会社によっては、臨時かつ巨額の収入として特別利益で計上している例もありました。

執筆陣紹介

仰星監査法人

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。