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新型コロナウイルス感染症の拡大により、政府や地方自治体の外出自粛要請を受けて、多くの企業及び監査人が在宅勤務等のリモートワークによらざるを得ない状況となっています。通常どおりの業務遂行が難しい状況下において、決算や監査業務を期日どおりに進めていくことが困難になっていくことが推測されることから、関係当局や団体から様々な声明等が公表されています。今回のコラムは前回のコラム執筆以後公表された、総務や経理業務に関連する主要なものを取り上げます。

公表主体 公表物 内容
国税庁 「法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ」 法人税等の納付期限延長に関する手続について
金融庁 「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を踏まえた有価証券報告書等の提出期限の延長について」 有価証券報告書等の提出期限について、企業側が個別の申請を行わなくとも、一律に本年9月末まで延長
「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査及び株主総会の対応について」 決算・監査業務、株主総会運営について期限延長を考慮して柔軟かつ適切に対応していくことを要請
経済産業省 「企業決算・監査及び株主総会の対応について」 株主総会につき、例年とは異なるスケジュールを検討するよう要請
「株主総会運営に係るQ&A」 株主総会の具体的な運営について
東京証券取引所 「有価証券報告書等の提出期限の延長」に伴う決算発表日程の再検討のお願い」 決算発表日程を再検討するよう要請
「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた上場制度上の対応に係る有価証券上場規程等の一部改正について」 新型コロナウイルス感染症の影響に配慮した特例を新設
企業会計基準委員会(ASBJ) 「新型コロナウイルス感染症への対応(会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)」 新型コロナウイルス感染症の影響に関連する会計上の見積りについての考え方

このように、決算発表、有価証券報告書等の提出、株主総会の延長を要請する声明等が多数公表されています。 実務上は、株主保護の観点から株主総会の延長に関する各企業の検討が最も困難になることが想定されています。
これは、会社法第124条2項において、基準日より3か月以内に行使する権利を認めることとされていることから、多くの3月決算会社では3月末日を基準日として定め、基準日時点の株主が6月の株主総会で配当を受ける権利を行使することになると考えられるからです。
基準日を変更することなく株主総会を延長するためには、継続会や臨時株主総会といった方法をとることが考えられますが、各企業のおかれている状況に応じた最善の方策を採用することが望まれることから、具体的な対応策については法律の専門家にご相談されることをお勧めします。

執筆陣紹介

仰星監査法人

仰星監査法人は、公認会計士を中心とした約170名の人員が所属する中堅監査法人です。全国に4事務所(東京、大阪、名古屋、北陸)2オフィス(札幌、福岡)を展開しており、監査・保証業務、株式上場(IPO)支援業務、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、パブリック関連業務、コンサルティングサービス、国際・IFRS関連業務、経営革新等認定支援機関関連業務などのサービスを提供。

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。