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1.令和2年度税制改正大綱の公表

自由民主党と公明党の両党は令和元年12月12日に令和2年度税制改正大綱を公表しました。今回は法人課税について取り上げます。今回の税制改正大綱の基本的な考え方では、持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進及び投資や賃上げを促すための税制上の措置を講ずるとともに、連結納税制度の抜本的な見直しが検討されています。

2.法人課税改正項目一覧

財務省は令和2年度税制改正大綱の概要として、法人課税について以下のようにまとめています。

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(出所:財務省ウェブページより著者作成)

その他、5G導入促進税制や電気供給業に係る法人事業税の課税方式の見直しが検討されています。

※今後の法案審議において、適宜修正等がされる可能性があります。

3.連結納税制度の見直しについて

現行の連結納税制度から、企業グループ内の各法人を納税単位としつつ、損益通算等の調整を行うグループ通算制度への移行が検討されています。
簡単な設例で現行制度との比較を行うと下記のとおりです。

(現行の連結納税制度)

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親法人にて、グループの連結課税所得を計算し、それに税率を乗じた金額をグループ一体としての税額として申告します。

(グループ通算制度)

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改正後のグループ通算制度では、各法人で所得・税額計算及び申告することを前提としています。損益通算の方法は、欠損を所得が発生している法人に所得の割合で配分することが検討されています。

4.まとめ

本稿では令和2年度税制改正大綱における法人課税について、とりわけ連結納税の見直しについてとりあげました。現行の連結納税制度の問題点としては、子法人の税務情報を親法人に集約し、親法人がグループ一体として申告を行う方式であるため、法人間の連絡・事務作業が煩雑であり、また、子会社の税務調査等で申告額に誤りがあった場合に、グループ全体で修更正にかかる事務負担が非常に大きいという指摘がありました。こうした指摘を受けて、制度の簡素化による事務負担の軽減を意図し、改正が検討されています。

執筆陣紹介

仰星監査法人

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。