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多くの企業でRPAの導入が進められていますが、成功している企業ばかりとはいえないのが現状です。RPAを導入することがゴールとなってしまい、本来の業務効率化や自動化という目標を見失っているケースも少なくありません。

一方、ガートナー社が発表する「戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」2020年版では「ハイパーオートメーション」が1位に輝き、“業務効率化の最前線”として注目を集めています。ではハイパーオートメーションはRPAとはどう違うのでしょうか。連載1回目となる今回は、ハイパーオートメーションの特徴や導入に向けてのポイントを中心にご紹介します。

ハイパーオートメーションとRPAとの違い

ソフトウェアロボットの導入によって業務自動化とコストカットを実現するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、多くの企業が導入しています。このように最先端テクノロジーがもたらす省人化・自動化の波は勢いを増しており、ガートナー社が発表した「ハイパーオートメーション」は複数の先端技術を組み合わせ、企業内の個別業務を横断的に自動化し、企業内DXをさらに促進するものとして注目されています。

現在、企業が導入しているRPAは一部の業務を自動化するのみで適用領域が限定され、理想的な業務改善には至っていません。また、手作業と自動作業が混在する状態だと、手作業の際に発生した人為的なミスに気付かないまま自動化のフローに進んでいってしまうケースも。業務内容によってはむしろフローが複雑化し、トータルでの作業効率はほとんど変わらないケースも考えられるでしょう。

真の業務効率化を目指し生産性を飛躍的に向上させるためには、一部の業務を効率化しただけで満足するのではなく、業務全体の見直しが必要です。そのためには「業務全体を効率化する」という本質を意識しながら、RPA以外にも活用できるツールを採用し、業務全体を見渡した自動化を推進していくことが求められます。それがハイパーオートメーションと言えるでしょう。

ハイパーオートメーションの導入に向けて押さえるポイント

ハイパーオートメーションによって真の効率化や自動化を実現するためには、業務プロセスの構築やオペレーションの検討段階から導入すべきシステムとあわせて検討することが重要です。そのためには、RPAやAIといった単独のテクノロジーに頼るのではなく、IoTやOCRなどさまざまなシステム、ツールと併用した構成を、トータルに検討することが前提となります。

「RPAはどのような業務に向いているのか」「IoTやOCRといったテクノロジーの特性がどのようなものなのか」などの理解を深めるためには、自社ノウハウだけではハイパーオートメーションの導入判断が難しいケースも考えられます。社外の専門業者も交えたうえで議題に挙げることも必要となるでしょう。

当然のことながら、ハイパーオートメーションの導入には最新のテクノロジーだけではなく、これまで業務を担ってきた人の知見やノウハウも不可欠。自動化を実現したあとでもイレギュラーな処理や判断が求められることがあります。システムを運用してはじめて浮かび上がってくる問題も多く、しばらくは人によるフォローができる体制を整えておくべきです。

また、ハイパーオートメーションを実現する際の大前提として、業務の大半を定形的な作業に落とし込む必要があります。そのため、業務の特性上、業務フローや処理のルール変更がどうしても難しい業務はハイパーオートメーションに向いていない可能性も。この見極めもハイパーオートメーション導入を成功させるうえで重要なポイントといえるでしょう。

ハイパーオートメーションを実現しビジネスを加速化させるためには、社内でこれまで培ってきた業務のノウハウと、最新のテクノロジーを活かすためのシステムの仕様や導入事例などの知見が求められます。

次回の記事では、ハイパーオートメーションの具体的事例と導入の進め方について解説します。

全2回業務自動化の未来はハイパーオートメーションにあり!

《連載:第2回》 ハイパーオートメーションの具体的事例と導入の進め方

《連載:第1回》 【2020年のトレンド1位】ハイパーオートメーションでビジネスはさらに加速!