2020年はIT市場が大きく変化すると予想されています。中でも大きな注目を集めているのが、今年から商用サービスがスタートする第5世代移動通信システム「5G」です。

今回の記事では、5Gによって日本のIT市場はどう変化していくのか、そして新たなビジネス創出や働き方改革につながる5Gの活用方法も解説します。

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5Gの商用サービス開始によって起こるトレンド

2020年3月から、KDDIとソフトバンクが5Gのサービスをスタートさせると発表しました。ドコモは正確な日時の明言は控えているものの「今年の春」と公表。このほか新たに参入した楽天モバイルも、2020年6月から5Gをスタートさせると発表しています。

サービスインに向けて多くのユーザーが気になるのがコンシューマー向け端末への5G対応ですが、シャープでは2020年2月17日に国内初となる5Gスマホ『AQUOS R5G』を発表し注目を集めています。一方ビジネス界では、産業向けの5Gサービスに注目が集まっています。なぜなら5Gは従来の「携帯電話用ネットワーク」という枠組みだけでなく、産業を越えたさまざまな活用が期待されるからです。

2020年は東京オリンピックが開催されます。5Gによってスポーツ観戦やエンタメ体験は革新的なものに変化し、楽しみ方が変わると考えられています。さらに大容量ネットワークの特性を活かし、多くの企業が動画配信に力を入れることは想像に易しいでしょう。

しかし5Gが変えるのはエンタメ分野だけではありません。今後AIやIoTといった最新テクノロジーとの併用によって、あらゆる産業において5Gの利活用は進むでしょう。

最新テクノロジーの複合によって変わるビジネストレンド

2020年は多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を本格的に始動させると予想されています。5Gをはじめとした新たなテクノロジーの活用、そしてAIやIoTに代表されるような先端テクノロジーとの併用によって、DXの価値が最大化されます。今後さらに多くの企業で、DXの取り組みが活発になるでしょう。

その一方で、セキュリティー面の対策が一層重要になります。特にIoTによってネットワークに接続されるデバイス数が爆発的に増えると、不正アクセスによる情報漏えいリスクも高まります。5Gを活用して革新的なビジネスを展開するためには、強固なセキュリティー対策が不可欠でしょう。

IT部門はDXを推し進める立場として、5Gを活用したシステム開発手法を検討しなければなりません。5Gの特性である“多接続”“低遅延”を最大限活かすためには、デバイスに近い場所にサーバーを配置する「エッジコンピューティング」とよばれる技術の導入も重要です。

スピード感のあるシステム開発を実現するため、近年注目を浴びる「アジャイル開発」を採用する企業も増えています。小さな単位で実装を繰り返すアジャイル開発は従来のウォーターフォール型の開発とは異なり、開発期間を短縮できるメリットがあります。

かつてクラウドコンピューティング技術によってビジネスの世界に大きな変革が現れたのと同様、5Gとそのほかの最新テクノロジーも新たなビジネストレンドを生み出すと予想されます。企業のシステム戦略を担うIT部門は、テクノロジーそのもののトレンドを追うことはもちろん、新たな開発手法にも注目しながら5Gの利活用を検討する必要があるでしょう。

全2回 5GによってもたらされるIT市場の変化とは?IT部門が押さえておくべきポイントも解説

《第2回》 IT部門が5Gのビジネス活用で押さえるべきポイント

《第1回》 2020年に予想される日本国内のITトレンド